WEBテキスト 5−2. 家具の人間工学・寸法の検討 (お試し版)

この章の 重要度

★★★☆☆

重要度は中程度。出題が少ない年(4問以下)もありますが、多い年は2題(小問8問)程度出題されます。
内容的にも、寸法の基礎になる章であり、おろそかには出来ません。
数字が苦手という方は、先に「Key Words」で要点を把握すると、覚えることを整理しやすくなります。

家具の分類

家具を「ひと」や「もの」との関わり方の違いから3つに分類

  1. 人体を支えるための人体系家具
    例)椅子ベッド
  2. 物を支えるための準人体系家具
    例)、調理台、カウンター
  3. 収納や遮断のための建物系家具
    例)棚、戸棚、たんす、ついたて

椅子の計画

姿勢が不自然になるのを防いでくれるのは背もたれであり、座面は体重を下から支える役目しかない

椅子の掛け心地を左右するのは
寸法・角度 ②体圧分布 ③クッション性

背もたれのある椅子

椅子は作業用軽作業用休息用に分けられる
   ↓
寸法・角度が移り変わっていく段階を、さらに5段階に分けた支持面のプロトタイプの提案もある

  • 支持面のプロトタイプ(作業や休息の度合いによって1〜5段階に分けられる)= 作業→休息に変わるにつれて、座面の高さが低くなり、背もたれが後ろに傾く

重要

  • 作業用椅子の座面高下腿高 - 1cm

            ≒ 身長 × 1/4

  • 下腿高(かたいこう)= ひざから床面までの寸法

必ず覚えなくてはいけないのが、この作業用椅子の座面高です。
座面の高さは下腿高とほぼ同じであり、かつ身長の1/4
どちらも重要です。

  • 休息椅子の一人分の腰幅60cm

この60cmは試験で直接聞かれることもありますが、ソファーの幅など、この数値から計算できるものが多いので、いろいろ使える数値です。

体圧分布
  • 人体には感覚が鋭敏なところと鈍感なところがある
  • 鋭敏なところには小さな力が、鈍感なところには大きな圧力がかかることが望ましい
      ↓
    その手段として体圧分布が測られる
  • 座面が高すぎる椅子に腰掛けると、大腿部の裏側が圧迫され、血行を阻害するなどの不具合が生ずる
クッション性
  • クッション性を良くしようとして柔らかい材料を詰めただけでは、身体が沈み込んでしまい、最終安定姿勢を好ましい形に保つことができない

柔らかすぎる椅子では、身体が沈み込みんで、かえって疲れてしまいます。

机の計画

重要

机は、差尺(さじゃく)が人体寸法にあっているかが重要

  • 机の高さ椅子の座面高差尺
  • 差尺 = 座位基準点から甲板までの垂直距離

この差尺は重要
試験でもよく聞かれます!!

机の高さ
  • 机の高さ身長 × 0.4
事務作業をするときの適当な差尺

① 筆記作業が主で、能率に重点を置いた場合

  • 差尺 ≒ 座高 × 1/3
    成人の一般的な差尺27〜30cm程度

② 読書などの緩やかな作業の場合の机は2~3cm 低くする

成人の一般的な差尺は約30cm
と思っておけば間違いないです。

ダイニングテーブルの基準寸法
肘無し椅子
  • テーブル1人分の基準幅寸法(肘無し椅子):60cm
  • 4人が座れるダイニングテーブルの基準寸法:120 × 80cm
  • テーブルの高さ:70cm

肘無し椅子の基準幅寸法が60cm
横に2人並んだ場合の幅が120cmになるため、4人が座れる最低幅の寸法は120×80cmになります。
この寸法を基準としてください

リビング兼ダイニング空間での食事
肘付き椅子
  • テーブル1人分の基準幅寸法(肘付き椅子):75cm
  • いすの座面高さ:38〜40cm
  • テーブルの高さ:65cm前後の低めが良い

ベッドの計画

快眠の条件
  • 無理のない寝姿勢を支える
    • 身体を柔らか過ぎるマットレスで支えると、腰椎が強く上に押し上げられ、背中が湾曲する
  • 体圧分布が適切である
    • 頭部=7〜8%、胸椎部=33%、骨盤部=44%、脚部=15〜16%の重力が分散してかかっている

人の上体は頭部、胸部、骨盤と3つのブロックに分かれてます。
身体をマットレスで支えると、重いブロックは沈んで、腰椎が上に押し上げられ、背中が湾曲し、寝返りもうちにくくなります。

寸法
  • 敷布団やマットレスの長さは、身長に40cm程度の余裕を見込む
  • 幅は最低70cm、肩幅2〜2.5倍程度を目安にする
マットレスのJIS規格寸法
  • 長さが2種類(1,950mm、2,050mm)
  • 幅が6種類

  シングル(920mm980mm
 セミダブル(1,100mm1,200mm
   ダブル(1,400mm1,520mm

  • JIS(日本産業規格)= 日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格
サイズ
シングル950~1,050
セミダブル1,050~1,300
ダブル1,300~1,500
クイーン1,500~1,800
キング1,800~2,100
一般的なマットレスサイズ(幅)

全部覚える必要はなく、シングルが1,000mm程度
シングルなので1と覚えて)で長さがその倍です。
幅はセミダブル、ダブルとサイズが大きくなると200mm程度大きくなる
(セミダブル1,200mm、ダブル1,400mm…)と覚えれば対処できます。

その他の家具・設備の計画

作業台
  • 身長170cm程度の人が立位で軽い作業をする場合、前方30cm程度での作業点の高さは、90cm程度
  • 身長160cm程度の人が使用する調理台の高さは、85cm程度 ⬅️重要
  • JIS A 0017 キッチン設備で定められているワークトップの高さは
    80cm、85cm、90cm、95cmの 4種類
  • キッチンカウンターでの食事は、座面高 50~55cm程度のハイスツールなどを組み合わせる
  • 洗面化粧台の高さは、JISで68cm72cmの2種が定められている
収納
  • カップボードの奥行きは通常 35〜45cmだが少し浅めの方が使いやすい
  • 洋服ダンス・クローゼットの奥行きは、60cm程度

クローゼットの奥行きは、ハンガーにかけて収納するため
肩幅にゆとりを加えた60cm程度とされています。

室内設備の計画

インテリア空間の壁面に近いところは人体寸法と深い関わりをもつ

図のように
関連する高さを整理してまとめると覚えやすいです。

作業の三角形

キッチンの機器の配置を計画する場合、頻繁に使われるシンクレンジ加熱調理器)、冷蔵庫を結ぶ動線を考える必要がある

  • この三角形を作業の三角形(work triangle)という
作業の三角形